乾汽船株式会社からの質問状に対する当社の回答


20191028

乾汽船株式会社

代表取締役 乾康之 様

取締役会 御中

アルファレオホールディングス合同会社

職務執行者 渡邊章行

 

 

 貴社より受領した2019107日付「ご質問」(以下「質問状」)に対して下記の通り回答申し上げます。この回答書面(添付書類を含み、以下「本回答書」)につきましては貴社が述べられたとおり、受領後速やかに貴社コーポレートサイトに掲載いただきますようお願い申し上げます。

 

第1.結論

1.アルファレオホールディングス合同会社(以下「当社」)は、統合前の乾汽船株式会社の代表取締役社長であった乾新悟氏の代表取締役社長就任(厳密には再就任)、及び乾康之氏の代表取締役社長及び取締役からの解任を求めるものです。

2.当社が貴社に投資している目的は、純投資であり、経営支配を目的としていません。そもそも、企業価値の向上はその時々の経営陣の責任に属する事項であり、筆頭株主である当社としては、企業価値の向上につき信頼できる経営者に経営をお願いしたいだけです。かかる観点から見た場合、現社長の乾康之氏は、業績及び企業価値を向上できないにもかかわらず、不透明な報酬体系の下、自らの役員報酬を大幅に増額する一方で、株主への配当を抑える施策を実施してきており(20196月定時株主総会での配当額は、4回もの下方修正の後に、1株当たり僅か1.72円となりました。)、企業価値の向上について、到底信頼できる経営者ではございません。

3.2014年に乾康之氏が社長になってから5年もの間、貴社の株価は一度も1,200円に達したことがありませんでした。しかし、皮肉なことに、今回、当社が臨時株主総会の招集請求を行ったことを貴社が公表すると、株価は急騰し、株価は統合後初めて1,200円を超えました(図表1)。貴社は、当社に説明を求めるよりも先に、乾康之体制の問題点を把握すべきです。当社に経営方針を尋ねる質問状を送ってくること自体が、乾康之氏が経営者の資質に欠ける証左とも言えると思います。

4.ガバナンスの機能不全をもたらし、企業価値を毀損している張本人が乾康之氏であることから、筆頭株主である当社は、企業価値を守るために、乾康之氏の解任を求めています。当社は、企業価値を守るために、信頼できる経営者の選任を求めているだけであって、経営者による経営方針の決定に対して重要な影響を与える意図はございません。

5.乾新悟氏(長男)と乾康之氏(次男)の両氏の時代の対比

(1)乾新悟氏が社長であった時代の乾汽船は、今とは比較にならない良好な業績を残しており、乾新悟氏こそが、企業価値の向上につき信頼できる経営者であると考えます。現に、乾新悟氏が社長であった20083月期には経常利益89億円の史上最高益を記録し、乾新悟氏の経営手腕が評価され、200710月の株価は上場来最高値となり、さらには、東証第一部で年間最も株価が上昇した会社になり、海運業界を代表する企業でありました。また、乾新悟氏は、取締役の報酬の明確な算定根拠を公に開示すると共に、株主への還元も十分に行いました。乾新悟氏が社長であった時期は、従業員、役員及び株主の皆が等しく利益を分かち合えた「栄光の時代」であり、当社は筆頭株主として、乾康之氏に代わり、「栄光の時代」を知る乾新悟氏に経営をお願いしたいと考えています。

(2)乾康之氏の下では、「良いときは笑い、悪いときにも泣かない」という貴社の標語の意味が、「良いときは乾康之が笑い、悪いときにも乾康之は泣かない」という報酬体系を意味するだけになっており、株主からすれば到底許容できません。具体的にいえば、20196月の定時株主総会で提案された配当総額(全株主への配当額の総額)は、「4,278287円」であるのに対し、常勤取締役2名への報酬は11,900万円(1名当り「5,950万円」)となっており、全株主への配当の総額が、乾康之氏1名に対する報酬を下回るという本末転倒な事態となっております。

6.企業価値を守るためには、このような専横的な姿勢の経営者は解任されるべきであり、かつ乾康之氏が行った自己保身のための施策の見直しも必須です。当社は、その観点から、企業価値を守るために、臨時株主総会の招集請求を行ったにすぎません。そして、2019114日開催の臨時株主総会において乾康之氏の解任が可決された暁には、直ちに、乾新悟氏を取締役として選任するための臨時株主総会の招集請求を行う予定です。

なお、貴社の取締役・監査役の中にも、当社の同様の見解に立つ方がいらっしゃるはずです。是非とも、取締役・監査役の注意義務を尽くして頂き、株主総会の前に、臨時取締役会を招集し、適切な対応を取って頂きたいと存じます。

図1 統合前の乾汽船と現在の乾汽船の株価推移のチャート

図2 取締役(社外取締役除く)の報酬(総額)の推移のチャート

※統合前(9113)の常勤取締役は57名であったのに対し、統合後(9308)の20156月以降の常勤取締役は2名である。

第2.本回答書の骨子

1.投資に至った経緯(乾英文氏、乾新悟氏への信頼)

当社は乾英文氏、乾新悟氏を含む歴代の創業家出身の代表取締役が築き上げてきた信頼と実績を評価して投資を開始しました。具体的には、当社の子会社アルファレオ株式会社が運用するアルファレオ1号投資事業有限責任組合(以下「アルファレオ組合」)を通じて20149月より東証第一部(証券コード:9113)乾汽船株式会社(以下「旧乾汽船」)に純投資を保有目的とした投資を開始しました。現時点においても保有目的は純投資であり、経営支配を目的としておりません(以下「当社」という場合には、「アルファレオ組合」を含みます。)。貴社からの質問状では、経営の観点から経営の考えを具体的に明らかにするように求められていますが、当社の保有目的は純投資であること、これまでの創業家の経営手腕や実績を評価して投資を開始したこと、及び経営を通じて企業価値の最大化を図る責任は取締役が負っていることをふまえれば、経営支配を目的としない当社が経営に関して説明する責任はないものと考えます。むしろ、当社が臨時株主総会の招集請求をしただけで株価が1,200円を超えた事実(1,200円は乾康之氏が5年かけて1度も達成できなかったものです)を貴社は重く受け止める必要があり、当社に説明を求める前に、まずは乾康之体制の問題点を把握することが先決ではないでしょうか。

乾新悟氏による「栄光の時代」の創出

乾新悟氏が社長であった20083月期には経常利益89億円の史上最高益を記録し、乾新悟氏の経営手腕が評価されて200710月の株価は上場来最高値となり、さらには、東証第一部で年間最も株価が上昇した会社になりました(図表1)。また、乾新悟氏は、取締役の報酬の明確な算定根拠を公に開示すると共に、株主への還元も十分に行いました。海運市況の低迷により、20133月期は赤字に転落しましたが、20143月期には純利益で黒字化し、回復の兆しを見せていました。乾新悟氏は、「栄光の時代」を創出した社長でありました。

乾康之氏による「暗黒の時代」

貴社は、2014101日に旧乾汽船とイヌイ倉庫が統合して乾康之氏が代表取締役社長になって以降、重大なガバナンス不全という問題を抱えるようになり、企業価値及び株主価値が継続的に毀損され続けています。乾康之氏が本来兼務されるべきではない経営の最高責任者と財務の最高責任者を司り、報酬委員会の委員さえも兼務して業績に見合わない高額な自己の取締役報酬を決定するというガバナンスの効かない体制になっています。現に、乾康之氏の時代の常勤取締役1名当りの報酬は、乾新悟氏の時代の常勤取締役1名当り報酬を大きく上回っています(図表2)。

乾康之氏による企業価値の破壊

株主を軽視するだけでなく、統合以降で50人近い従業員(幹部社員も含まれます)が退職している事実に照らしますと、会社の屋台骨である従業員価値までもが破壊されていないかという重大な懸念が生じざるを得ません。過去に乾英文氏、乾新悟氏など創業家出身の代表取締役社長は、社員を愛して専門知識のある幹部役職員に支えられながらガバナンスの効いた経営を行い企業価値の向上に努めてきました。敬意を払うべき創業家出身者といえども、乾康之氏が著しくガバナンスが効かない原因となっていることは明白です。

乾康之氏は経営者の資質に欠けると言わざるを得ないこと

業績についても16回にも及ぶ、度重なる下方修正、中期経営計画の未達状況、さらには対話における不適切な発言や特定株主に対する利益供与ととられかねない事態などを踏まえると、残念ながら、乾康之氏には定量的にも定性的にも代表取締役を担う資質に欠けると言わざるを得ないと思います。

乾康之氏の解任及び乾新悟氏の新社長就任は企業価値を守るためのものであること

当社は、20149月以降5年間にわたり乾康之氏と対話を繰り返しましたが、改善の兆しはみられず、むしろ業績及びガバナンスともに悪化の一途をたどっております。もはや一刻の猶予もないと判断せざるを得ず、株主価値及び従業員価値ひいては先人たちが築き上げてきた乾汽船の名誉を守るために臨時株主総会の招集請求を行った次第です。そして、2019114日開催の臨時株主総会で乾康之氏の解任が可決された暁には、直ちに、乾新悟氏を取締役として選任するための臨時株主総会の招集請求を行う予定です

 

第3.本論

1.投資に至った経緯(乾英文氏、乾民治氏をはじめとする歴代創業家社長への信頼

貴社は2014101日に旧乾汽船(東証第一部。証券コード:9113)とイヌイ倉庫(東証第二部。証券コード:9308)が統合して誕生した会社ですが、それぞれ1904年、1925年に乾新兵衛氏が創業した同根の会社です。当社は乾英文氏、乾新悟氏を含む歴代の創業家出身の代表取締役が築き上げてきた信頼と実績を評価して投資を開始しました。

 

2.乾新悟氏が築いた「栄光の時代」

(1)乾新悟氏時代の栄光の数々

当社は、20149月に旧乾汽船に投資を開始しました。旧乾汽船はそれまでの10年間で乾新悟代表取締役社長の時流を読む英明さと海運事業に精通した4名の非創業家出身の常勤取締役に支えられながら、10年間年平均で約13億円の純利益(10年間の累積純利益は約136億円)を稼ぎ出していました。

20083月期には経常利益89億円の史上最高益を記録し、乾新悟氏の経営手腕が評価されて200710月は株価も上場来最高値となり、さらには、東証一部で年間最も株価が上昇した会社にもなりました(図表1)。乾新悟氏が事業に精通した常勤取締役として経営していた頃の旧乾汽船は海運業界を代表する企業であったと言えます。その後、海運市況の低迷により、20133月期は赤字に転落しましたが、20143月期には純利益で黒字化し、回復の兆しを見せていました。このように乾新悟氏が経営していた時代は含み資産の裏付けがなくとも海運市況の波をうまく潜り抜けながら、企業価値の向上を追求する優良な企業であったことがわかります。そして、20145月に創業者が同じで安定的な収益が見込める不動産賃貸事業を営むイヌイ倉庫との統合が発表されましたが、財務基盤が強化されて、その潜在性が実現されると期待して当社は投資を決断したのです。当社はその高い評価を統合後の乾康之氏との対話の中で当社の計算で「当社の計算で時価総額500億円(株価2,000円)」の潜在的な企業価値がある」とお伝えし、市場での評価がそれを下回る限りは市場で買い増し続けると繰り返し表明してきました。

(2)乾新悟氏が築き上げた経営体制、ガバナンス体制(旧乾汽船の役員報酬と現在の役員報酬の比較

乾新悟氏が築き上げた経営体制が素晴らしいものであったため、当社は、旧乾汽船の統合前の時点で旧乾汽船の発行済株式数の11.55%を保有するに至りました。

旧乾汽船は乾新悟氏のもとでガバナンス面でも先進的な経営をしておりました。具体的には常勤取締役の報酬計算を次の通り開示しておりました。

 

以下は、旧乾汽船の第98期有価証券報告書からの抜粋です(下線部加筆)。

1.当社の当事業年度の取締役および監査役の報酬の額は、世間水準および経営内容、従業員給与とのバランスを考慮して決定する方針を採用しております。また取締役の賞与の額につきましては、会社の営業成績に応じて支給する方針を採用しております。取締役の報酬は、株主総会が決定した報酬総額の限度内において取締役会において決定され、監査役の報酬は、株主総会が決定した報酬総額の限度内において監査役の協議で決定されます。一方取締役の賞与は、株主総会の決議を経て決定しております。

2.当社は、第95期(平成233月期)より取締役(社外取締役を除く)の賞与に関し、以下の計算方法に基づく利益連動給与を支給することを取締役会で決定しております。算定方法は以下の通りであり、算定方法について監査役全員が適正と認めた旨を記載した書面を受領しております。

[算定方法]

①利益連動給与総額は、当該事業年度の当期純利益(個別)に1.5%を乗じた額(百万円未満切捨)とし、1億円を超えない金額とする。

②各取締役への支給配分は役職別とし、各役職別の支給配分は、利益連動給与総額に次項③に定める役職位別係数を乗じ、業務を執行する全取締役の係数の合計で除した金額(10万円未満切捨)とする。

③各役職位別の係数は、取締役社長10、専務取締役8、常務取締役7、取締役6、非常勤取締役2とする。

④支給対象者は事業年度末現在在籍の取締役とする。

⑤支給額は、取締役会において決定する。

 

乾新悟氏は、報酬の計算方法を明確にして開示した上で、取締役報酬を常勤1人当たり2,082万円(20143月期)と当時の海運業界平均よりも低い水準に定め、賞与も合理的な計算式で業績の責任を取締役自らが株主と同じ視点で分かち合う仕組みとしていました。しかしながら、乾康之社長就任後は役員報酬の計算方法を明確にしない上、20193月期の常勤取締役報酬は1名当たり5,950万円も支給されております(図表2)。旧乾汽船との比較もさることながら、海運業界平均の約2倍もの役員報酬を受け取っている状況です。20193月期の業績から旧乾汽船の報酬制度で計算した場合の常勤取締役報酬は、業界平均値と同等の水準となります。

 

3.乾康之氏による「暗黒の時代」(統合後の乾康之氏の経営手腕と役員体制)(2014年~2017年)

2014101日の統合直後の役員体制は執行役員を含め旧乾汽船出身4名(創業家出身1名、非創業家3名)、イヌイ倉庫出身6名(創業家出身1名、非創業家5名)及び新任役員1名の合計11名の役員体制(執行役員含む。)でした。ところが20156月以降は常勤取締役が創業家出身で兄弟である乾康之氏と乾隆志氏2名となり、本来兼務するべきではない経営の最高責任者(代表取締役社長)と財務の最高責任者(コーポレート部門)の担当取締役を乾康之氏が兼務するガバナンスに重大な懸念のある体制となりました。当社は、この時点では、創業家とくに乾新悟氏が退任前までに築き上げた実績に敬意を示して、20156月及び20166月開催の定時株主総会では全議案に対して賛成票を投じた次第です。

業績については、統合後なんと16回もの下方修正を行い、下方修正回数は東証一部上場企業の中で上位にランクインしており、極めて不名誉なことです。16回という下方修正の回数は、乾康之氏の先見性のなさを端的に裏付けています。さらには中期経営計画の営業利益は3期中2期未達の状況であり、今年度においては純利益も未達であり、財務報告に関する内部統制が極めて脆弱な状態です。統合して乾康之氏が陣頭指揮を執るようになって1年半後の20163月期には1396100万円の巨額の減損損失を発表し、簿価純資産の約40%を毀損するなど乾康之氏の経営手腕に疑義が生じる事象が発生し始めました。

これを受けて乾新悟氏のような専門知識や経営手腕のない乾康之氏が巨大な投資を行うことに不安を感じ、当社は、対話の中で海運業の専門知識をもった常勤取締役の招聘や無理な再投資はせずに余資は株主に返す「総還元性向80%」を提案しましたが、乾康之氏は取り合いませんでした。貴社は、20172月には中期経営計画を発表し、20175月には新たな配当計算方針を発表しましたが、根本的な問題解決に着手しない中での計画発表の強行に疑問を持ち、当社は、20176月の株主総会においては乾康之氏の再任に反対票を投じざるを得ませんでした。

なお、201548日提出の大量保有報告書で保有目的を「純投資」から「純投資が基本であるが、状況に応じて経営陣への助言や重要提案行為等を行う」に変更したことを付記します。

 

4.乾康之氏による企業価値の破壊

(1)従業員価値の破壊

 統合以降で50人近い従業員(幹部社員も含まれます)が退職している事実に照らしますと、会社の屋台骨である従業員価値までもが破壊されていないかという重大な懸念が生じざるを得ません。

(2)乾康之氏の独断による特定株主への利益供与のリスクと自社株買いの資金的余力

20176月の定時株主総会終了直後に貴社は自社株買いの実施を発表しており、ToSTNeT-3により222,400株の買付を実施しております。その後の当社と貴社の対話でこの自社株買いが長年旧乾汽船の筆頭株主であった株式会社商船三井(以下「商船三井」)との持ち合い株式解消の中で行われたことを知りました。

当時、201861日より改訂コーポレートガバナンスコード(以下「改訂CGC」)への対応が始まることも決まりましたので、20183月にIRミーティングを要請し、乾康之氏との対話をもちました。

対話の中で、貴社が含み資産を加味した実質自己資本率が同業他社と比べて著しく高く、リターンを生まない政策保有株を多数抱えていることから、改訂CGCにおいて求められている資本コストに関する説明を求めました。その中で驚くことに「最適資本構成は必要なのか」など最高経営責任者兼最高財務責任者の資質を疑われる発言が乾康之氏から放たれ、さらに驚くことに海運業に対する専門的知識に欠ける中で、それを補完しうる政策保有先である商船三井を追い出すための手段として自己株取得が使われたことを伺わせる発言がありました。

そのため、乾康之氏には改訂CGCを遵守する意思がないこと、及び、政策保有株式についても企業価値向上のために保有されているわけではないこと、などから、20186月の定時株主総会に関し、同年4月にやむなく「政策保有株売却を原資とした自己株取得」の株主提案に至りました。しかるに、株主提案を行った直後の2018420日に乾康之氏自身がアルファレオ組合の運用会社であったアルファレオ株式会社代表取締役社長に電話をしてこられ、ToSTNeTを使った自己株取得に応募する形でのアルファレオ保有株式の売却をもちかけてきました。当社はこれを「特定株主に対する利益供与に該当するリスクのある提案」と整理せざるを得ず、貴社取締役会宛てにも、利益供与になりかねない危険な申し出として拒否することを書面で連絡し、すべての株主の共同の利益に資するように、市場での自社株買いの実施を書面で提案しました。このような法的に危険な提案を乾康之氏自身が行ったことに照らしますと、貴社に自社株買いを行う資金的余力があることを認めただけでなく、政策保有と自社株買いが乾康之氏の保身の手段として使われていることを認めたに等しいものと言えます。

なお、今回の臨時株主総会の第4号議案について、貴社は、招集ご通知の中で「当社として一定の現預金を確保する必要性等がある中で、自己株式の取得を行うことの合理性は乏しい」と述べています。しかし、上述のとおり、20176月には、商船三井等から自社株買いを行い、約2億円を商船三井等に支払っています。そして、貴社は、現時点においても、自社株買いを行う十分な現預金を有しています。「乾康之氏の保身や都合の悪い株主を追い出すための手段として自社株買いを利用する」のではなく、企業価値の向上に役立たない政策保有株式は一律に売却し、それを原資として、相互持合となっている株主からは自社株買いを行う方が株主の共同の利益に資すると思います。

(3)大幅な増配という前提が反故にされたこと

貴社は、20185月に、20183月期通期決算発表の中で、繰延税金資産計上による法人税等調整額の減少による大幅な増益と20193月期の大幅な増益・増配予想を発表しました。貴社は、それらを前提条件として(配当金額が大幅増配になっていることを明記した上で)、20186月開催の定時株主総会における当社の追加配当の株主提案に対して反対し、同時に譲渡制限付き株式報酬を議案として上程しました。しかし、その後、配当額の予想の下方修正が繰り返され、20186月の定時株主総会で説明された前提条件は、反故にされました。

 乾康之氏の下で、不透明な報酬体系の下で取締役報酬が増額しているのに反して、株主への配当額は低く抑えられています。乾新悟氏の下では、透明性の高い取締役報酬が取られていたのと好対照と言わざるを得ません。

(4)株主の議決権行使の軽視

さらに当社は20176月開催の定時株主総会に出席して決議に加わったにも関らず、臨時報告書の決議の結果には、当社の議決権の数(25,072個、議決権ベースで10%)が含まれていない事態が発覚しました。そこで、20186月の定時株主総会の際には、貴社に対して、総会当日に出席し審議の上で決議に参加することを可能にする手続きを強く求めましたが、「総会当日に出席すると、総会当日に当社が行使した議決権が集計結果に反映される保証はない」との回答しかなされませんでした。株主の議決権行使を軽視する取締役会に不信をもち、事前の議決権行使書により取締役全員の再任議案に反対した上で、止む無く、当日の総会出席を諦めざるを得なくなりました。

(5)不適切な株主総会の運営(特定株主のみへの配慮)

なお、定時株主総会の決議の取消訴訟の中で、貴社は、特定の持合株主に対してのみ、その株主が事前に委任状や議決権行使書を提出していても、当日オブザーバー参加することを認めていることが発覚しました。しかし、その事実は、当社を含む株主に対して何ら開示されていません。もし、オブザーバーとして出席できることが周知されていれば、少なくない株主がオブザーバーとしての参加を希望すると思われます。当社も、オブザーバー参加が認められたならば、20186月の定時株主総会に、オブザーバーとして参加し、当日の審議を見届けることができたはずです。このように一部株主のみを不公平に優遇した中で、譲渡制限付き株式報酬制度が可決されました。そして定時株主総会で可決された直後に、譲渡制限付株式報酬制度により、乾康之氏を含む常勤取締役2名に対して報酬を支払っており、ここにきて乾康之氏の私物化は極まる形となりました。

 

5.乾康之氏は経営者の資質に欠けると言わざるを得ないこと(2018年~2019年)

(1)乾康之氏による諸々の自己保身策と不可解な会計処理

貴社は20186月の定時株主総会後、同年8月に実施された20193月期第一四半期決算発表にて下方修正を発表したことを皮切りに、同年11月には、2017年発表の中期経営計画では資産計上を予定していたバラスト水処理装置を一括費用計上する等で中間期にも大幅な下方修正を行い、最終的にはたった1年での繰延税金資産の取崩しを本決算で発表し、経常赤字転落となりました。それに伴い、期首に期末配当を40円と発表していた予想配当は大幅に減配となり、統合後で最低の1株あたり年間1.72円の配当額となりました。それにもかかわらず、譲渡制限付き株式報酬を含めて常勤取締役報酬は45%増額されました。

(2)不可解な取締役報酬制度

重大な会計処理の問題が懸念される中、20195月に当社と貴社のIRミーティングが実施されました。当社は、不可解な取締役報酬計算方法と異常な会計処理や財務報告について質問を行いましたところ、乾康之氏は社外取締役を過半数とする報酬委員会を12月に設置して適切に行っており、営業キャッシュフローを重要な指標(KPI)としているとの回答でした。また、非創業家取締役の常勤取締役増員については「社員の成長を待っている」、「常勤取締役は1名でもいい位」との驚くような発言をし、自身の専門的知識の欠如を補おうとする姿勢すらなく、それどころか、最終的には弟である常勤取締役の乾隆志氏さえも常勤取締役から排除し、乾康之氏自身だけが常勤取締役として居座る可能性さえ示唆しました。このままでは、数年先には完全に常勤取締役乾康之氏1名の専断的な経営体制になってしまう恐れがあります。

ここに至り、乾康之氏が自己の報酬金額をどのような時でも安定的に増額・維持するために(「良いときは乾康之が笑い、悪いときでも乾康之は泣かない」という報酬体系)、経営判断の最終責任者、経理の最終責任者及び指名・報酬委員という地位を悪用して会社を私物化しており、さらに専門知識の欠如を埋めてくれる非創業家取締役を排除したまま独善的な経営を行っていると理解せざるを得なくなった次第です。その結果、貴社の企業価値と株主価値が乾康之氏によって大きく毀損されているという結論に達し、20196月の株主総会においては株主権の行使を通して企業価値・株主価値の防衛を行わざる得ない状況と相成りました。それ以降、当社は、金融商品取引法の定めに基づいて、大量保有報告書の保有目的欄にて当社の保有目的としての議決権行使の方針を開示しております。

なお、繰り返しになりますが、20183月期と20193月期の有価証券報告書においては、繰延税金資産の計上と取崩し及びバラスト水処理装置の一括費用計上に関連して会計処理について重大な疑義があることを再度述べておきたいと思います。

 

6.乾康之氏による企業価値の破壊から会社を守るために、臨時株主総会招集請求をせざる得なくなったこと(2019年6月以降)

(1)20196月開催の定時株主総会においては、これまでの経緯を含めて取締役と監査役に対して事前質問制度を利用して質問を行い、修正動議による提案を行いました。詳細な証拠を取締役と監査役に送付しましたが、該当事実がない旨の回答を受け、さらには株主総会の不適切な手続きについて専門性を有するはずの社外取締役が不適切な認識に基づく回答をするなど、取締役会及び監査役会を含めて組織全体がガバナンス不全に陥っているように見受けられました。そのため20196月の定時株主総会後に、議決権行使書や委任状の閲覧・謄写を実施したところ、違法又は著しく不公正な手続・方法により定時株主総会が運営されていた可能性、及び、当社が適法と考える決議方法によって採決がなされていた場合は「乾康之氏の再任」と「買収防衛策の導入」が否決されていたであろうことが判明しました。それを受けて、適法な総会運営を確保するために、20199月に定時株主総会の決議の取消訴訟を提起しました。

(2)また、当社は、20199月に臨時株主総会の招集請求を行いました。この臨時株主総会の招集請求は、市場において高く評価され、臨時株主総会の招集請求がなされたことが開示されると、今まで乾康之氏が一度も達成できなかった1,200円という株価を達成しました。市場は、誰が企業価値を破壊しているかを正しく認識しています。

にもかかわらず、貴社は十分な法的根拠がないままに、審議を請求した5議案のうち「買収防衛策の廃止」を議案として取り上げておりません。当社は20191011日付で取り上げられなかった議案に関わる臨時株主総会の開催許可請求の申立てを裁判所に対して行いました。

 

第4.当社が貴社の「その他の関係会社」に該当しない理由

貴社は、質問状の中で、有価証券上場規程第411条第2項に言及して、当社に対して決算情報の提出を依頼されていますが、当社は貴社の「その他の関係会社」(「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則8174号)に該当いたしませんので、決算情報を提出する義務はないと思料致します。その理由は以下の通りです。

まず、そもそも、当社が貴社の「その他の関係会社」に該当するならば、臨時株主総会の招集請求をしたり、株主総会招集許可申立てをすることなく、もっと容易に、企業価値の保護という当社の目的を達成できるであろうことを強調します。

さて、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則85項は次のように定めています。

この規則において「関連会社」とは、会社等及び当該会社等の子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいう。」

そして同規則86項は「前項に規定する子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合とは、次の各号に掲げる場合をいう。ただし、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないことが明らかであると認められるときは、この限りでない。」と定めています。

よって、当社が同規則86項但書の要件を満たせば、当社は貴社の「関連会社」に該当せず、よって「その他の関係会社」にも該当しないことになります。

この点については、「例えば、ベンチャーキャピタルなどの投資企業が投資育成や事業再生を図りキャピタルゲイン獲得を目的とする営業取引として、又は銀行などの金融機関が債権の円滑な回収を目的とする営業取引として、他の企業の株式や出資を有している場合において、次のすべてを満たすようなときが該当する」とされています(上記は「例えば」となっており、除外される例を示したに過ぎません)。

① 売却等により当該他の企業の議決権の大部分を所有しないこととなる合理的な計画があること。

② 当該他の企業との間で、当該営業取引として行っている投資又は融資以外の取引がほとんどないこと。

③ 当該他の企業は、自己の事業を単に移転したり自己に代わって行うものとはみなせないこと。

④ 当該他の企業との間に、シナジー効果も連携関係も見込まれないこと。

この点、当社の投資目的は純投資であり、経営支配を目的としておりません。当社は、貴社の企業価値を守るために、信頼できる経営者の選任を求めているだけであって、経営者による経営方針の決定に対して重要な影響を与える意図もございません。そもそも、当社と貴社の関係は、「ベンチャーキャピタルなどの投資企業が投資育成や事業再生を図りキャピタルゲイン獲得を目的とする営業取引」が行われる場合の投資者と投資先の関係に比して、遥かに希薄です。また、当社の期待する株価に達すれば、当社の保有する貴社株を売却する予定があります(この点は、既に貴社にご説明差し上げております)。よって、を満たします。また、当社と貴社の間には、貴社の株式に投資をする以外の関係はございませんし、貴社は、当社の事業を単に移転したり、当社に代わって当社の事業を行うものでもございません。よって、を満たします。そして、当社の投資目的は純投資であり、貴社との間でシナジー効果も連携関係も見込まれません。よって、を満たします。

以上により、当社は、同規則86項但書の要件を満たし、貴社の「その他の関係会社」に該当しません。

 

第5 最後に

冒頭にある通り、当社は乾英文氏や乾新悟氏が旧乾汽船で行ってきた「時流を読む英明な企業経営」を再度行ってほしいと心から願っており、旧乾汽船時代の実績を頼みとして投資を開始し既に累計で5年以上の投資を行ってきました。5年間の対話の中で残念ながら乾康之氏は定量的にも定性的にもその資質に欠けると言わざるを得ません。重大なガバナンス問題を抱えたままの体制が続くならば、創業から100年以上かけて築き上げられた企業価値が完全に破壊されてしまうリスクがあるのではないかとの恐れを感じています。乾新兵衛氏が創業してから100年以上続く、貴社の高尚な価値が乾康之氏の私物化と自己保身により完全に破壊される前に、今回の臨時株主総会において根本的な問題への対処が行われることを願っております。

 

 

以上